上京物語その65536

職場で履いてたスリッパの甲の部分が
自動で開閉するような仕様になってしまったので,
新しいルームシューズを買おうと思って靴屋さんに行きました.
そこで,なかなかオッサン臭くて良さ気な上履きが
「2000円」と書かれた値札1枚と
「大特価!!」と書かれたタグ5枚が付けられた状態で置いてあったので
それを持ってレジへと行きました.
レジで待っていたのは,なかなかキュートなカワイコちゃん.


その娘の全身をくまなくチェックしながら,
1万円札を渡してお釣りを貰って会計を済ませるつもりだったのですが,
お釣りとして戻ってきたのは3000円.
どうやら,その娘の名札を見ながら,
「その苗字,僕が合法的に変えてあげるよ・・・」とか考えていたせいか,
自分の差し出したお札の額をちゃんと確認できていなかったらしいのです.
でもまぁ,1回くらいは口頭確認してもバチは当たらないんじゃないかと思って
「えっ?今,僕が出したのって5000円札でし」まで言ったところで,
「5000円札です!!」という回答が,
明らかな拒絶の声色でレスポンスされてきたのでした.


いくらなんでもそこまで否定されるとは思っていなかったので,
とっさの機転も思いつかず,
開きかけた心の切り傷を必死で隠しながら,
「あ,ははは,ま,間違えちゃいましたすみませんでした」と
そそくさとその場を後にするしか,僕には出来なかったのです.
ちょっと経ってから,その経緯を振り返ってみて,
「あー,僕ってば,
 『初対面の可愛い系の異性に,自分のしでかした
  ちょっとしたミステイクを全力でなじられるプレイ』に
 あんまり向いてないタイプなんだなぁ,失敗失敗」
と前向きに捉えられるほどの度量が僕にあるわけもなく,
さっきまで近くの公園のブランコに揺られながら
ぼんやりと人生について考えていたのでした.
そんな繊細でセンシティヴな僕の心の隙間にも,
1月のジャニュアリーな北風は容赦なく吹き荒ぶのでした.


あと1ヶ月足らずで,27になります.