振り返るな振り返ると終わり この世はそんなもの

さっきから,『僕,人生失敗したかなぁ?』とか考えてます.
というのが,ちょっと前に母親から電話があって,
小学からの友人が結婚するらしいという話を聞いたとか
言ってきたんです.


その彼とは小学から中学まで同じ学校に通ってました.
特別仲が良かった訳ではないものの,
近所なので,高校の時までは時々会ったりはしてました.
高校卒業後,僕は地元の大学へ進学.
一方彼は,別の大学を受験したものの落ちて浪人.
翌年東京の某大学に受かったものの,1年余りで退学し,
東京に残って,定職に就かずに
いろんな職を転々としていたらしいです.


それからは音信不通になっていたので,
何をやってたとかは全然知らないのですが,
それが2,3年くらい前には地元に戻ってきていたらしく,
今回結婚するって話を,たまたま母親が人伝に聞いたらしいのです.
その話を聞いたとき,驚きはしましたし,良かったなとも思いましたが,
それよりも何というか,ちょっとした敗北感が胸をよぎった訳で.


そーゆー挫折した経験がありながらも,そこから立ち直って
さらには幸せをも手に入れているというのが,
僕にとっては,すごく羨ましかったりするんです.
受験戦争に勝利したのは僕の方なのに,
何故今頃になって,僕がこんな惨めな思いをしなければならないんしょうか?


グリム先生,あなたは昔,僕にこう仰いました.
「家はな,レンガで建てたほうがエェんやで.」
僕,この言葉にホント感動したんです.
この言葉に感銘を受け,
『よし,これからは一生かけてレンガの家を建てていこう!』と,
僕は人生の全てをレンガの家作りに捧げる事を誓い,
一生懸命,地味ながらも堅実な人生設計通りに生きてきて,
今やっと,その土台をならす作業に取り掛かったところなんですよ?


それを今頃になって,
「バーカ,何を夢見とんねん.
 今はな,『じゃあ僕は,ワラの家を建てるよ!』て言うたら,
 『ワラで家建てるなんて,超イケてるし,超ウケるんですけどー.』とか,
 『オオカミに食べられても構わないと云う,
  その生き様にロックを感じました!』とか評判になって,
 『カリスマ』とか『若者の代弁者』とか,大衆の支持を集めるようになって,
 何の不自由もなく,ぬくぬくと生きてける時代なんやで.
 ル ー ル が 変 わ っ た ん だ よ !」
とか言い出すんですか.酷過ぎる.とんでもない裏切りだ.


でももう一人,僕が感銘を受けた人物は,きっと僕を裏切ったりはしない.
その人物とは,ウチの親父.
昔,貧しかった実家の家計を支える為,
進学したい気持ちを抑えて,中卒で就職した人物.
働いて働いて,爺さん婆さんから息子,娘までを
何ひとつ不自由させることなく支えてくれた,素晴らしい人物です.
こんなに『堅実』を地で行く人物が,
よもや僕を裏切ったりするわけがないと,そう思っていたんです.
でも今日,その親父とも前述の電話で話したんですが,こんなことを言ってました.


「母屋の側に,自分の趣味用に木の小屋を建てたんじゃけど,
 コレが案外,心地よくて,今じゃすっかり安息の地なんよ.」


チクショー!
親父,グリム先生とグルになってまで僕を裏切るのか!